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일본서적/お金の要らない国(수정)

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お金の要らない国(18p 19p 20p 21p) 彼女は困ったような顔をして小声で言った。「あの、すいません。ここにはそういうもの、置いてないんですけど」 私はあきれた。一体、この国のやつらは何を考えているんだ。みんなでよそ者をからかって、そんなにおもしろいのか。私は黙ってウェイトレスをにらみつけた。彼女はすまなさそうに、うつむいてしまった。私はちょっとかわいそうになって、なるべく優しい口調で聞いてみた。「私が食べた料理の値段を知りたいんです。わからないとお金が払えないでしょう? 教えてくれないとこのまま帰ってしまいますけど、いいですか?」 ウェイトレスは顔を上げ、不思議そうに言った。 「あのう、お食事がお済でしたら、お帰りになっていただいてかまわないのですけれど。 もっと何かお召し上がりになるのでしたら、ご注文くださればお出ししますが......」 ウェイトレスの表情は真剣だった。とてもふざけているとは思えない。ひょっとしたら本当に..
お金の要らない国(15p 16p 17p 18p) 私は、なんとも不愉快だったが、ふと名案を思いついた。そうだ、地図を調べてみよう。 地図を見れば何かわかるに違いない。ちょうど目の前に書店があったので入ってみた。 しかし、私の期待は見事に裏切られた。確かに地図はあった。それもちゃんと日本語で書いてあったので問題なく読めた。この町が、国と言うべきか、とてつもなく広いこともわかった。しかし、肝心の、地球上のどこに位置するのかが、どこにも書いてないのだ。私の頭は混乱した。こんなおかしなことってあるか。こんなにでかい国なのに、私はその存在を今の今まで知らなかった。学校の地理でも習わなかった。いったい、ここはどこなんだ。ひょっとして地球ではないのか。そんな馬鹿な。地球以外に人の住んでいる星が見つかったなんて話、まだ聞いてないぞ。 私は、ふらふらと書店を出た。何がなんだかわからなかった。いったいこれからどうすれ いいんだ......。ふと見ると一軒..
お金の要らない国(10p 11p 12p 13p 14p) 紳士は一つのドアの前で立ち止まった。近くにあった長椅子で私に少し待っているように言い、彼はドアの中に入って行った。社長室のドアにしては、ちょっとちゃちだなと思ったが、私は見た目より座り心地のいい長椅子に座って、彼が出てくるのを待った。 しばらくしてドアが開いた。でも出てきたのは紳士ではなく、掃除のおじさんだった。しかし、私はそのおじさんをもう一度よく見てわが目を疑った。 「お待たせしました」 それは間違いなく紳士だった。紳士は作業服に手袋をし、電気掃除機らしき機械を引きずって私の前に現れたのだ。目を丸くしている私に彼は言った。「どうされました? 何か変ですか」 私は一瞬、声が出せなかったが、なんとか口を開いた。「あ、の、掃除が......お仕事なんですか?」 紳士は自信に満ちた表情で言った。「そうですよ。私はこのビルの掃除を、もう長いことやらせてもらっています」 私は拍子抜けがしてしま..
お金の要らない国(6p 7p 8p 9p) 私は唖然としてしまった。こいつ、人のよさそうな顔をして、 からかっているんだろうか。だいたい、何のためにわたしをここへ 連れてきたんだ。私は質問を変えてみた。 「あなたはどなたですか?私のことをご存じなんですか?」 紳士はにっこり笑って言った。 「いずれ、おわかりになると思いますよ。悪いようにはいたしませんから、今は私についてきてください」 全く納得がいかなかったが、見知らぬ町に一人で放り出されてもしかたがないので、私はとりあえずこの紳士の言うとおりにしようと思った。やがてコーヒーが運ばれてきて、私たちは黙って飲んだ。紳士は相変わらずほほえんでいた。私はさっぱりわけがわからなかった。でも、コーヒーはとてもうまかった。しばらくして紳士が言った。 「じゃ、そろそろ行きましょうか」 どこへ行くんだか知らないが、私はうなずいて席を立った。すると、なんと紳士はそのまま店を出ようとするではないか。..
お金の要らない国(3p 4p 5p) ふと気がつくと、私は見知らぬ町に立っていた。ビルが立ち並び、車が行き交うその町は、一見、私が住んでいるところに似ていた。しかし、明らかに私のまちではなかった。そらは青く、空気は澄んでいた。いたるところに緑があふれ、花が咲いていた。また、そこにさまざまな人種の人たちがいた。でも不思議なことに言葉は誰とでも通じるらしく、皆、楽しそうに語り合っていた。しばらくぼう然としていると、一人の日本人らしき男性が近づいてきて私に話しかけた。 「ようこそ。おまちしておりました」 ダークスーツをさり気なく着こなしたその人は、四十代半ばくらいの品のいい紳士だった。しかし誰なのか、まったく覚えがない。とまどう私に、彼は言った。 「どうぞ私といっしょにいらしてください」 わけがわからなかったが、悪い人には見えなかったので、私は彼の後ろについて歩き出した。 そこは、やはり私のまちとは違っていた。建物にしても車にし..